2013年6月28日発売のBLゲーム「NO,THANK YOU!!!」のレビューです。
ネタバレをしており、この作品はネタバレを見てしまうと面白さが半減どころか7割減くらいしそうなので、未プレイの方や、気になってる方は見ないほうがいいかもしれません。

ネタバレなしで感想を言うならば……。
記憶をなくしてもう一度プレイしたい名作です。

というわけで、プレイ完了しました、ノーサンキュー。
BGMモードをバックグラウンドで流しながらレビューです。
いやはや……凄い作品でした。
CG枚数は半端ないし、声もフルボイス。システムは並のエロゲ以上に充実しており、なにより目玉の体毛ON/OFF……。

そして一番凄いと思ったのが、シナリオと、伏線、伏線回収の巧さです。
一周目で何気なく過ごしていた行動や、ハルの突飛さには意味があり、裏があり、それらは二周目から明かされます。
必然的に各キャラ二周以上必須ですが、その分、各キャラの視点が追加されていたり、不可解な間になにがあったかがわかったりします。
特に、そういうことか！と思ったのは、BADの一つであるAnotherEND1です。
いつもどおり出勤すると、ひろしの死亡が告げられ、暗転後、ニュースアナウンスへ……というシーン。
ここだけ見ると、えっ？　マキちゃんが殺ったの？　と感じますが、実際は違います。
その暗転の間は、恐らく浩一√クリアか、攻略中に解禁のようです。
実際にはハルを疑った浩一をどうするかと迷ったハルがまずは琉を殺害。浩一を拘束し、殺害し、マキは逃げた……という感じです。
まさか、まさかOPにあるようなCGがそんなシーンだとは夢にも思いませんでした。せいぜい裏稼業で捕まったくらいだよねーと思ってましたから。
私はひろし→マキちゃん→琉→おっさんの順に攻略したため、この謎が相当あとにならないとわからなくて、非常にもやもやとしたのはいい思い出です。

ハルは実際のところ記憶喪失などではなく、仕事として来ているというのは、二周目で追加シナリオが出た最初理解できなくて、薄く青色になったテキスト欄が隠していた真実なわけですが、ある種、叙情トリックなんて言葉が頭には浮かびましたね。


では各キャラについて。

秋山博之（ひろし）
THE 童貞、そしてメス顔メス声男前受けです（意味がわからない）
最初にやったせいか、割と思い入れが……第一印象でも、一番に攻略したい！って思ってましたしね。
ひろしマジ男前。きっとハルのことずっと待ってますよ。
シナリオとしては、正直なところ一番優しいシナリオだった気がします。他の攻略キャラはなんだか重たくて……というか、BLらしいBLって感じです。歳近いし（多分）、友達からだし、童貞だし。

マキ
なんというか……攻略対象……えっ？　ってなりました、発表当時。寧ろサブキャラだろ？　シェフだし。喋らないけど実は良い人みたいな！
なんてことはありませんでした。
マキちゃん…マキちゃあああああんん！！！！帰ってくる！帰ってくるからぁ！
って感じですね。
特に最後のエロシーンはようやくデレた！ という感慨深さすらあります。頭ぽん、も凄いじわっと来ましたし。一番最初のエロが完全レイプだった分、なんというか、感慨深さすらあります。
ところでマキちゃんの処女は一体誰が……。

琉
ツンです。ツンツンクー。
デレ…そんなものはあっただろうか……（遠い目）
だがしかしそれがいい。
ビジュアル的にも性格的にも、いいキャラしてます。もちろん声も。
それに、シナリオとして、サブキャラの夢歩ちゃんや、五十嵐兄弟が唯一救われてるんですよね……。
兄弟は母親の呪縛から解き放たれた弟くん。りっくんことお兄ちゃんの引きこもりからの本気（ただしだいぶ弱気）はいい展開だと思いました。でもそれ以外の√だと、多分弟くん母さん殺してあぼーん……。

乾浩一（おっさん）
こうりゃ…えっ？　　えっ？？
二度見しますよねーですよねーボーイ（少年）、ではないし。
が、しかし！　割と可愛いおっさんでした。というか、「そういう対象に見られている」という自覚がないせいで、無意識というか、無防備なんですよね。それがいい。
おっさんもおっさんで目的が合って、しかもハルのことを最初から疑ってたなんて、なんという策士……。
BADかと思われるAnotherEND2では、ダルマです……Twitterで軽く検索したときに見つけてしまい、ダルマ？ まさか……四肢切断……？ と嫌な方向に考えを巡らせていたのですが、それプラスでなおさらひどかったという。がくぶるです。ハルのじーちゃんと、それの上客らマジキチ。マジでキチガイ。
さり気なく琉の妹が歌ってるのがね……つらい。


とりあえず雑多ですが、キャラ感想でした。
シナリオに関しては、正直なところ、「恋愛」ADVと言えるのか微妙なところですが、そもそもハルが人並みの生活ができていなくて、「恋愛」というものをわかっていないというのも大きいので、これはFDに期待ですね。ハルのじーさん早死希望。そして組織から抜けだして、ヒロインのもとにゆくのだハルゥ！
とは、全体的にシナリオは素晴らしいと思いました。伏線回収、キャラクターの造形、過去など、テンプレという感じもあまり感じずです。
というか、相当異色な作品だったのではないかと。なにせ、兄ブランドがガチエロゲーの会社ですしね。SEもシステムもシナリオ原画などなど、そちらの技術使いまくりなもんだから、並のものよりも高水準。

前述した通り、システムがとても充実しています。体毛ON/OFF、各キャラごとのシーン鑑賞、攻略のヒント機能や、昨今は増えて来ましたがまだまだ少ないボイスコレクションなどなど。
かゆいところに手が届く、というのはこんな感じですね。
とはいえ、バグが少々目立っていたのは惜しいですね。いい作品ながらもバグに見舞われるというのは、神無ノ鳥を思い出します。

音楽や声関連も合わないところはなく、むしろぴったりです。
ハルの声優が変更ということはありましたが、古河さんのハルはアホなところやエロいところ、シリアスなところと、ぴったりでした。
ヒロイン勢や、サブキャラも然り。ひろしのメス声や琉の耐えた声、マキちゃんの無口ながらも変化のある声や、おっさんの完全なおっさん声（まんま）は、もうこれしかないという感じです。

主題歌はエロゲーやアニメで有名なmilktubが歌っている「NO,THANK YOU!!!」です。明るい曲と言えば、というアーティストですが、クリア後に歌詞を聞き直すと……。
キーワードにもある「最初で最後の夏」「今だけは自由に」「なんにも持ってない」という歌詞が「仕事が終われば組織に戻るから二度とない夏」「過去のゲームで勝ち取った権利での自由」「実験動物扱いされているため名前もなにも持ってない」というような意味合いが含まれているのではないかと。

CGはかの有名なげふんげふん。
キレイです。塗りももちろんながら、原画家さんが相当に上手く、エロに対する情熱や体毛への情熱を感じます（褒めてます）。
体位だとかはわりと普通でしたが、シチュエーションはエロゲよりかな？　だがそれがいい。
いやでも、BLゲームでカテーテルとか、初めて見ましたよ……。

記憶をなくしてから、もう一度最初からプレイしたい。
よくあるプレイ後の一言ですが、まさにこれもそうです。
前情報もなんにもない状態で、再度プレイしたい。Twitterや公式サイトなどの情報をシャットアウトしてやりたいです。
そして一周目の驚きと、二周目でのあの感覚というか、感触というか、気持ちを再度味わいたいですね。

発売前から期待値が相当上がっていたとはいえ、それを上回るほどの名作を生み出してくれたParadeブランドに拍手です。

そして一刻も早いFDを……ヒロインとのその後を！未来を！
そして成宮ENDを！あとOVAは作画崩れがない方向で！
あとあと、兄貴救済を！それからそれから……


望みは尽きませんなぁ。



余談ですが、一番面倒大変だったのは、タクシー（成宮）CGの差分回収です……。
あと、タイトル画面の変化で、最後にハルがいなくなったのに(´；ω；｀)ｳｯ…ってなりました…。